このサイトは2010年頃の更新をもって活動を終了しております。閉鎖してしまうには惜しい記事も多いことから、公開に問題の無いものだけをアーカイブ的に掲載し続けていますが、今となっては古い情報が多いです。そのことを十分にご承知の上、何かにご参考いただければ幸いです。

現在位置: ホーム > 文章の書き方 > 課題別に学ぶ > わかりやすく >

意味を正確に伝えよう

文中に意味の紛らわしい部分、わからない部分があると、理解するのが大変になります。あなた以外の人にも正確に伝わるか、しっかり見直しましょう。

紛らわしい説明を避けよう

人間は「言葉」を使うことによって、他の動物と比べて圧倒的に確実なコミュニケーションを実現しています。しかし、それほど強力なツールである「言葉」も、何でも正確に伝える完璧なツールというわけではありません。1つ1つの言葉が複数の意味・ニュアンスを持っている上、言葉の組み合わせによっては何通りもの解釈が可能になるからです。

もし、文章の中にそのような「どうにでもとれる紛らわしい説明」があると、ユーザーはそのたびに「何を言いたいんだろう?」と考える羽目におちいり、やがて読むのに疲れてしまいます。文章を書くときには、次の点に気を付けて、一義的な説明になるように工夫しましょう。

修飾する言葉は修飾される言葉のそばに置く

人は近くにあるものに関連性を感じます。修飾する言葉が修飾される言葉と離れていると、意味をとり違えてしまう場合があります。

  • 新しいAデパートの特徴は
  • Aデパートの新しい特徴は

1番目の例では、「新しく建設されたAデパートにおける特徴」なのか、「Aデパートの新たな特徴」なのか2通りの解釈ができてしまいます。「新しい特徴は」としてつなげることで、意味が一義的になりました。

言葉を省略しない

あなたにとって当たり前のことが、ユーザーにとっても当たり前とは限りません。何かを指し示すのに必要な言葉を省いてしまうと、意味がハッキリせず、紛らわしいものになってしまいます。

  • 新しいAデパートの特徴は
  • 新しく建ったAデパートの特徴は

1番目の例では、「新しく建設されたAデパートにおける特徴」なのか、「Aデパートの新たな特徴」なのか、2通りの解釈ができてしまいます。2番目の例では言葉を省かず、「新しく建った」とすることで意味が一義的になりました。

「てにをは」を正しく付ける

日本語では「弊社はあなたを助けます」の「は」「を」のように、単語と単語の間に助詞などを入れて意味をつないでいきます。このような、言葉をつなげる語尾表現を「てにをは」と呼びます。「てにをは」を間違って付けていると、前後の言葉のつながりがおかしくなって、意味合いが変わってしまうことがあります。

  1. 弊社の皆さまへお届けする商品は・・・
  2. 弊社が皆さまにお届けする商品は・・・

1番目の方は、単に「お客さま」のことなのか、「その会社のお得意さま」に限定しているのか、意味がハッキリしません。2番目のように「てにをは」を正しく付けることで意味が一義的になりました。

意味のあいまいな表現をしない

日本語には、あいまいな表現が多数あります。ユーザーがどう受けとってよいのかわからなくなるので、次のような表現は避けましょう。

  • 二重否定:例「〜できないこともない」(できるのかできないのかハッキリしない)
  • 主観に基づいた表現:例「このセールではとても良い品を安く買えますので、ぜひお越しください。」(「とても良い」の程度がわからない)
  • 「ような」「など」の乱用:例「包丁などの代わりなどにお使いいただけるようなツールです」(結局、何に使うべきなのかよくわからない)

「わからない言葉」をなくそう

アナウンサーの話す言葉を1つ聞き逃したせいで、ニュース全体の意味がわからなくなった経験が、誰にもあると思います。この例のように。たった1つのわからない言葉のせいで、文章全体の意味がわからなくなることがあります。文章を書くときには、ユーザーに確実に伝わる言葉を選ぶか、事前にその言葉の意味を説明するようにして、ユーザーが理解できない言葉が無いようにしておきましょう。

特に気を付けるべき点は次のようなものです。該当しそうなものについて、グロッサリー(用語集)を作っておけば、後でチェックするときに楽になります。

難しい漢字を使わない

日本語には多くの漢字が使われますが、私たちが日常使用する漢字、覚えている漢字は、全体のほんのひと握りでしかありません。ワープロによる執筆では、気がつかないうちに難しい漢字を使ってしまいがちですので、できるだけやさしい漢字・かな表記で書くように注意しましょう。

もし、「この漢字を使っていいのかどうか」と悩んだときには、義務教育で習ったであろう範囲の漢字(常用漢字)を使用しておけば間違いありません。また、当サイトで提供している、「難読漢字/機種依存文字チェッカー」(ツールページで提供)を使えば、「難しくて使用すべきではない漢字」であるJIS第2水準文字が簡単にチェックできますのでお試し下さい。

難しい言葉を使わない

日本語には、同じような意味を持つ類義語・同義語が多数あります。同じ意味とはいっても、子供が使う言葉と大人が使う言葉で難しさが異なるように、類義語・同義語には様々な難易度があります。

  1. 同一の範疇に属する要素と言えます
  2. 同じカテゴリーに分類できる要素と言えます

1番目の例は、義務教育では教えない「範疇」という言葉を使っています。高等教育で習う場合もあるでしょうが、多くの人は辞書を使わないと意味がわからないでしょう。2番目の例では、よりやさしい「カテゴリー」という同義語を使うことで、意味がすんなり伝わるようになりました。

難しい言葉を使った言い回しは知的な印象も出ますが、意味が伝わらなければ元も子もありません。ターゲットとするユーザーの理解度をふまえて、やさしい言葉を選びましょう。シソーラス(類義語辞書)を使えば、代わりの言葉は簡単に見つかります。

専門用語はユーザーに伝わるものを選ぶか注釈を付ける

専門用語は通じる相手以外には意味不明の言葉です。できるだけやさしい言葉を使うか、注釈を付けるようにしましょう。特に、自分の分野に関しては専門用語であることを忘れがちですので、気を付けてください。

  1. インターネットはインタラクティブなメディアである
  2. インターネットは、双方向的に、情報の送り手と受け手をつなぐメディアである
  3. インターネットはインタラクティブなメディアである。(インタラクティブ:情報の送り手と受け手が相互に情報をやりとりできること)

1番目の例では、ユーザーが「インタラクティブ」という用語の意味を知らなければ、メッセージ全体が意味不明になります。そこで、2番目のようにインタラクティブの意味そのものに置き換えたり、3番目のように後で注釈を付けることで、誰にでもわかりやすいものなりました。

なお、HTMLには、3番目の例の注釈のような「この用語について説明する」という部分を定義づけるdfn要素があります。先ほどの例では、<dfn>インタラクティブ</dfn>:情報の送り手と受け手が相互に情報をやりとりできること、とタグ付けしておきます。

略語を使わないか注釈を付ける

専門用語の中でよく目立つのが、なにかの言葉を縮めた略語です。たとえば、「公正取引委員会」を「公取」などと呼ぶのも略語の1つです。略語は通じる相手以外には意味不明の言葉ですので、できるだけ元の形で書くか、注釈をつけるようにしましょう。とくに業界用語に多く見られますので、自分の専門分野でよく使っている言葉には十分気を付けてください。

なお、HTMLでは、その言葉が略語であることを定義づけることができます。略語一般を定義するabbr要素と、「SOHO」のように何かの頭文字を集めて1つの単語として発音できるようにした略語を定義するacronym要素があり、title属性を用いることで元の言葉も定義付けられます。具体的には、それぞれ次のようにタグ付けします。

  • 抽選で5組のお客さまに、12月×日に武道館にて開かれる、<abbr title="ベートーベンの交響曲第九番ニ短調">第九</abbr>のコンサートチケットをお送りさせていただきます。
  • 私たちは従業員全てが<acronym title="Small Office Home Office">SOHO</acronym>形式で仕事をしています。

このように定義づけておくことで、コンピューターにその部分が略語であることを知らせることができます。たとえば、ウェブブラウザのNetscape6.2では、その部分にマウスポインタが置かれたときに元の言葉を表示するような表示処理を行います。「ターゲットとするユーザーには通じるから特に注釈をおかずに使用するが、わからない人もいるかもしれない」という略語があれば、定義づけておきましょう。

地方や年代で異なる言葉を避けるか注釈を付ける

言葉の中には、居住する地域や年代によって意味が異なったり、特定の相手にしか通用しないものがあります。ユーザーが誤って理解したり、わからないことの無いように、別の言葉を選ぶか、注釈を付けるようにしましょう。

  1. 比婆のおいしいわに料理
  2. 比婆のおいしいわに料理(サメ料理)

中国山地の付近では、サメのことを「わに」と呼ぶそうなのですが、一般的には、は虫類のワニと勘違いする人の方が多いでしょう。2番目の例のように注釈を付けておくことで、ユーザーに誤って伝わることを防ぐことができます。

特別な意味を持つ部分は強調しよう

あなたが人に何か話すときには、重要なポイントでは声を大きくしたり声色を変えたりして、特別な意味合いをもつ部分であることをハッキリさせていることだと思います。同様に、文章を書くときにも、文字を太くしたりアンダーラインを付けたりして、特に伝えたい部分をハッキリさせていることでしょう。HTML文書でも、そのような特別な意味を持つ部分を、その性質に合った要素で定義づけることで、意味をハッキリさせることができます。特別な意味を持つ部分は、それに合った要素を用いて意味を強調しておきましょう。

特に重要なのは、「強調要素」です。これは、他の部分に比べて重要なポイントであることを定義づける要素で、殆どのウェブブラウザで通常の文字と異なった見栄えで表示されます。「強調要素」にはstrong要素という「強い強調」の要素と、em要素という「弱めの強調」の要素の2種類があり、それぞれ次のようにタグ付けします。

  • 弊社が望むことは、<strong>子供達の世代に豊かな自然を残すことです。そのために・・・</strong>
  • 弊社が望むことは、<em>子供達の世代に豊かな自然を残すことです。そのために・・・</em>

なお、CSSなどのスタイルシートを使うことで、見栄えは後から自由に変えられますので、標準状態の見栄えにとらわれず意味合いの強弱で正しく定義づけておきましょう。たとえば、このホームページのデザインでは、それぞれ次のように強調されます。

  • stromg要素 : 弊社が望むことは、子供達の世代に豊かな自然を残すことです。そのために・・・
  • em要素 : 弊社が望むことは、子供達の世代に豊かな自然を残すことです。そのために・・・

スポンサード リンク